ビタミンD研究:脳健康とCOVID回復に相反する結果
16年間の研究で、中年期のビタミンD高値が脳内タウタンパク質沈着の低減と関連することが判明。一方、大規模COVID-19試験では、ビタミンDが急性重症度を軽減しないものの、ロングCOVID回復に役立つ可能性が示唆された。別の研究では、アスリートと非アスリートの両方で、サプリメントがビタミンDレベルを改善し免疫プロファイルを安定させることが確認された。
16年間の研究で、中年期のビタミンD高値が後の人生における脳内タウタンパク質沈着の低減と関連することが判明した。一方、大規模臨床試験では、ビタミンDサプリメントがCOVID-19重症度を軽減しないものの、ロングCOVID回復に役立つ可能性が示唆されている。
アイルランドの研究では、平均年齢39歳の認知症のない約800人の参加者を追跡調査した。各参加者は研究開始時にビタミンDレベルを測定され、約16年後に脳スキャンを受けてタウタンパク質とアミロイドβタンパク質のレベルを測定した。参加者のビタミンDレベルは、30ナノグラム/ミリリットル(ng/mL)を超える場合は高値、それ以下の場合は低値と判断された。ビタミンDレベルとアミロイドβタンパク質の間に関連性は見られなかったが、研究開始時に血液中のビタミンDが多かった人は、数年後に脳内のタウ量が少ない傾向があった。
一方、ボストンのMass General Brighamの研究者らが主導するVitamin D for COVID-19(VIVID)試験では、米国とモンゴルに住む最近COVID陽性と判定された1,747人の成人と、その家庭内接触者277人を追跡調査した。新たにCOVIDと診断された患者は、高用量レジメンを直ちに開始した:最初の2日間はビタミンD3 9,600 IU、その後1ヶ月間は毎日3,200 IUを投与した。これらの有意な量にもかかわらず、診断後4週間の医療ケアの必要性に、ビタミンD3を服用したグループとプラセボを服用したグループの間に差はなかった。さらに、このビタミンはウイルスが同じ家に住む他の人々に感染するのを防ぐ効果もないようだった。
しかし、研究者らが患者の健康状態を初期診断から2ヶ月後に調べたところ、ロングCOVIDに関する有望な兆候が見つかった。ビタミンDを服用したグループでは、21%が8週間時点でブレインフォグや疲労感などの持続的症状を報告した。プラセボ群では、この数字は25%と高かった。この差は統計的に「境界線」の有意性しかなかったが、研究者らは、ビタミンDがウイルスの長期的影響を体がより効率的に除去するのを助ける可能性を示唆しているかもしれないと述べた。
アイルランドの研究結果は、初期中年期のビタミンD高値と、平均16年後のタウ負荷の低減との関連を示唆している。中年期はリスク因子の修正がより大きな影響を与える時期であり、ビタミンD低値は容易に修正・治療可能である。2025年の分析では、ビタミンDレベルとアルツハイマー病リスクの間に同様の関連性が明らかになり、ビタミンD低値が認知症発症リスクを49%増加させる可能性があることが示唆された。
別の研究では、健康なレクリエーションランナーと非ランナーを対象に、8週間毎日2000 IUのビタミンD₃サプリメントが血清ビタミンD、白血球数、パフォーマンスパラメータに及ぼす影響を調査した。サプリメントは、ランナー(30.45 ± 7.0から35.35 ± 8.9 ng/mL)と非ランナー(25.0 ± 8.7から30.2 ± 9.7 ng/mL)の両方で血清25(OH)D₃を有意に増加させた一方、サプリメント非投与の非ランナーでは顕著な減少が見られた(25.93 ± 6.6から17.8 ± 7.3 ng/mL)。総白血球数と好中球数において、時間とサプリメントの有意な相互作用が観察され、サプリメント投与参加者の免疫プロファイルがより安定していることが示された。
研究者らは、COVID研究をさらに大規模なグループに拡大し、ロングCOVID回復に関するこれらの兆候が異なる集団間で一貫しているかどうかを確認したいと考えている。ビタミンDは必須栄養素であり、免疫機能や筋肉機能、骨格健康、心血管健康、心臓発作リスク、さらにはうつ病や不安にまで影響を与える可能性がある。米国人の約3分の2がビタミンD不足と推定されている。