がん研究の最新進展:治療法とバイオマーカーの新たな知見

再発中皮腫患者を対象としたRSO-021の第I相試験では、67%の患者で病勢コントロールが達成された。その他の進展として、NRAS変異駆動性メラノーマに対するdaraxonrasib、小児がんにおけるPARP阻害薬反応性の異数性バイオマーカー、新たながん治療標的と胆管がん治療に関する研究などがある。

第I相臨床試験で実験薬RSO-021を投与された再発中皮腫患者では、67%の症例で病勢コントロールが達成され、一部の患者では腫瘍の縮小も認められた。バーモント大学の研究者らがNature Communicationsに発表した研究によると、治療は概ね忍容性が良好で、これらの重篤な患者は標準療法を受けた患者よりも長く生存した。

中皮腫はまれだが非常に攻撃性の高いがんで、世界で毎年約3万人が罹患する。免疫療法や化学療法の効果は限定的で、患者の生存期間の中央値は診断後約12か月、5年生存率はわずか約10%である。中皮腫細胞は活性酸素種を異常に多く産生し、抗酸化酵素ペルオキシレドキシン3(PRX3)の産生を増加させる。PRX3は、がん細胞の亢進した代謝によって生じる有害な分子から腫瘍細胞を保護する。RS Oncologyが天然由来の抗生物質チオストレプトンから開発した実験薬RSO-021は、PRX3を不活性化し、腫瘍細胞のミトコンドリア内に過酸化水素を蓄積させて細胞死を誘導する。がん細胞は健康な細胞よりも多くの活性酸素種を産生するため、この薬剤は正常組織への障害を抑えつつ、腫瘍細胞により選択的に作用する可能性がある。

実験室での実験では、中皮腫細胞株からPRX3を完全に除去するとミトコンドリア活性が低下し、細胞分裂が著しく遅延し、さらにこの変化したがん細胞は動物実験で腫瘍を形成しなかった。他の研究グループの研究では、PRX3を欠損した健康なマウスに有害な影響は見られなかった。2022年から2023年にかけて、研究者らは英国でMHRAの監督下で実施された第I相試験でRSO-021を検証した。この薬剤は、中皮腫患者の約90%が罹患する合併症である胸水のためにすでに患者に留置されているカテーテルを通じて胸腔内に直接投与される。90ミリグラムの用量では、この試験は安全性と忍容性の目標を達成し、治療に起因する死亡はなかった。

また別の進展として、ユタ大学ハンツマンがん研究所の研究チームは、研究化合物daraxonrasibが、NRAS遺伝子の変異によって引き起こされる攻撃的な皮膚がんであるNRAS変異駆動性メラノーマに対する効果的な治療法となり得ると報告した。NRAS遺伝子はメラノーマの約4分の1に変異が見られる。Revolution Medicinesが開発したdaraxonrasibは、変異するとがんを促進するタンパク質RASを標的とし阻害する。転移性膵臓がんの治療薬としてのdaraxonrasibの結果は、第III相臨床試験で患者の平均余命を2倍に延ばし、最近米国臨床腫瘍学会年次総会で医師らからスタンディングオベーションを受けた。Cancer Researchに発表されたメラノーマ研究では、NRAS駆動性のすべてのモデルがこのRAS阻害薬に非常に反応した。研究チームは、NRAS駆動性腫瘍の縮小は実際には非常にまれであると指摘している。NRAS駆動性メラノーマの患者は、メラノーマ患者の約半数に有効な免疫療法の後の二次治療として有効な標的療法を持っていない。研究チームは、一部のモデルが薬剤耐性を獲得し、その耐性がMEK1の変異またはシクロフィリンAの発現低下と関連していることを観察した。

バーミンガム大学の研究者らは、ユーイング肉腫およびその他の腫瘍型の小児における特定のがん治療への反応性に対する新たなバイオマーカーを特定した。この研究は、eSMART試験内の第I/II相治療群であり、70人の患者が登録され、そのうち66人が英国、フランス、オランダ、スペインで治療を受けた。このうち36人がユーイング肉腫、34人がその他のさまざまな腫瘍型であった。がんが転移または再発した場合、治癒の可能性は30%未満に大幅に低下する。化学療法薬である低用量イリノテカンとPARP阻害薬の併用は忍容性が高く有効で、12人の患者がさまざまな腫瘍型にわたり、部分奏効または完全奏効による腫瘍縮小、あるいは6か月以上の病勢安定を示し、効果が認められた。レトロスペクティブ解析により、がんの異数性スコアが高い患者は治療の利益を得る可能性が有意に高いことが明らかになった。異数性スコアが小児がん試験における治療反応性と関連付けられたのは今回が初めてである。

ブラジルのサンパウロ連邦大学(UNIFESP)の研究者らは、細胞表面の分子であるシンデカン-4(SDC4)受容体を、がんに対する有望な治療標的として特定した。Cytotechnologyに発表されたこの研究は、SDC4の過剰発現が腫瘍細胞に保護シールドを提供することを示した。実験室での実験では、受容体をサイレンシングすると腫瘍細胞の亢進した増殖が停止し、プログラム細胞死に再び反応するようになった。SDC4は、基質への接着喪失によって引き起こされる細胞死の一種であるアノイキスから腫瘍細胞を保護する。ウサギの接着性大動脈内皮細胞を用いた実験では、接着の破壊後に生存した細胞は5%未満であり、SDC4の過剰発現により高度に攻撃的になった。分子をサイレンシングすると、細胞は悪性の性質を失い、再び接着に依存するようになった。このメカニズムには細胞周期の調節が関与しており、サイレンシングにより細胞分裂の阻害因子であるp27が増加し、サイクリンとCDKの発現が調節される。研究者らは現在、カンナビジオール(CBD)がSDC4分子に作用するかどうかを調査している。

バーミンガム大学の研究者らは、生存率約5%の希少な胆管がん(cholangiocarcinoma)の患者の治療経路を改善する方法を調査している。ダレン・ネルソン氏とケイティ・ネルソン氏からの慈善寄付によって支援されているこの研究は、がんを攻撃するT細胞を活性化する免疫増強薬デュルバルマブを用いて有望な結果が示された最近の臨床試験に焦点を当てている。研究チームは、デュルバルマブで処理されたT細胞が胆管のがん細胞とどのように相互作用するのかについてさらに解明したいと考えており、初期の実験ではゲノミクス技術を用いて、治療が効果を示しているかどうか、また患者が副作用のリスクがあるかどうかを示す可能性のあるT細胞の変化を特定している。追加の目標は、診断から治療までの時間を短縮することである。

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References

  1. A Rare and Deadly Cancer May Have an Unexpected New Vulnerability - SciTechDaily · scitechdaily.com
  2. Experimental drug shows promise against NRAS-driven melanoma - News-Medical · news-medical.net
  3. Researchers find potential therapeutic target against cancer - EurekAlert! · eurekalert.org
  4. New biomarker predicts therapy response for hard-to-treat childhood cancers · news-medical.net
  5. AACR Warns Congress of Cancer Care Setbacks from Proposed NIH Cuts, Again · insideprecisionmedicine.com
  6. Nelson Family funding will drive forward improved treatments for rare cancer · birmingham.ac.uk