猫のがんにおける最大規模の遺伝子マップが完成 ヒトの腫瘍と共通の変異を多数特定
猫のがんに関連する遺伝子マップが完成した。ヒトのがんと遺伝的な共通点が多く、全腫瘍の14%にヒトの既存薬が効く可能性のある変異が見つかった。この発見は、ペットの治療向上とヒトのがん研究の両方に貢献すると期待されている。
科学誌『Science』に掲載された研究により、家猫のがんに関する過去最大規模の遺伝子解析マップが完成した。世界5カ国の猫から採取された13種類のがん、計493の腫瘍サンプルを調査した結果、ヒトのがんと驚くほど似た遺伝子変異が見られることが判明した。
研究チームは、がんに関連する978個の遺伝子をシーケンシングした。最も頻繁に変異が見られたのは「TP53」遺伝子で、猫の腫瘍の約33%で変異が確認された。これはヒトのがんでの出現率(約34%)とほぼ同等である。他にもPTENやFBXW7といったヒトの代表的ながん抑制遺伝子が、猫のがんでも同様に増殖を促す「ドライバー遺伝子」として機能していることが分かった。
特に、猫の乳がんはヒトの若年女性に多い「トリプルネガティブ乳がん」と遺伝的な特徴が酷似しており、非常に悪性度が高いことも示された。研究では、猫の腫瘍組織から作成した3Dモデル(オルガノイド)にヒトの抗がん剤を投与したところ、特定の変異を持つ腫瘍に対して効果があることが確認された。この「ワン・メディシン(一つの医学)」のアプローチにより、ヒトの医学的知見を獣医療に、またその逆も活かせる道が大きく開かれた。