Eli Lilly、Nvidiaと提携しAI創薬向け10億ドルのスーパーコンピューターを構築
Eli LillyはNvidiaと提携し、創薬に特化したAI搭載スーパーコンピューターの構築に10億ドルを投じる。昨年9月にはTuneLabプラットフォームを立ち上げ、1月までに臨床試験データと計算基盤をリアルタイムに結び付ける共同イノベーション・ラボを設立した。
Eli Lillyは、創薬に特化した10億ドル規模のAI搭載スーパーコンピューターをNvidiaと共同で構築することで提携した。これは、時価総額9,000億ドルの製薬企業が、医薬品開発に向けた人工知能技術へ行う大規模投資を示すものだ。
Lillyは昨年9月、TuneLabプラットフォームを立ち上げ、他の製薬企業に対し、候補となる薬剤分子がどのように機能し得るかについて、この製薬大手が保有する独自の知見の全てへデジタルでアクセスできるようにした。TuneLabは従来の実地の臨床試験 (clinical trial) に代わるものではないが、何が有効そうで、何が有効ではなさそうかを研究者が把握するうえで有用である。これにより貴重な時間と費用を節約でき、製薬企業は最も有望な候補に集中できる。
Lillyは10月、AI分野の有力企業であるNvidiaと協業し、10億ドルを投じて、唯一の目的として「生物学を大規模に解析し、疾患理解を深め、その知識をLillyの医薬品の恩恵を受ける人々、さらには生命科学エコシステム全体にとって意義ある進歩へとつなげる」ためのスーパーコンピューターを構築すると発表した。これは同社の最高AI責任者のコメントとして伝えられている。
今年1月までに、この協業は「医薬品の探索と生産を加速し、スケールさせる」ことを目的とした共同イノベーション・ラボという形で具体化した。まず、同社の臨床試験データをプラットフォームのデジタル/計算能力と結び付け、リアルタイムでデータを共有することから開始した。
このAIプラットフォームにはすでに数社のサードパーティのバイオファーマ顧客がいるが、この新しい技術ツールで何ができるのかをより詳細に精査し終えるのを待っている企業も、今後増える可能性が高い。AI創薬ソリューションを提供する企業としては、Recursion PharmaceuticalsやAbCellera Biologicsなどの名前も挙がり、ほかにも複数存在する。
Straits Researchの見通しによれば、AIを活用した創薬産業は2034年まで年平均30%のペースで成長し、2034年には200億ドル超の規模に達する見込みだ。それでも、Eli Lillyの現在の年間売上高(約650億ドル)のほんの一部にすぎない。
新薬を市場に投入する平均コストが現在おおむね10億ドルの水準にあるなか、AI搭載プラットフォームによる時間・コスト削減は、医薬品開発にとって大きな価値を持つ。強力な医薬品開発プラットフォームを保有することは、自社の研究を最適化できるだけでなく、優れた新薬を生み出したものの、承認取得まで完遂し、その後のマーケティングも支援できるより大きな企業名を必要としている可能性のある中小製薬企業との提携機会へのアクセスをLillyにもたらす。