シンガポール、研究開発に370億ドルを投入へ 量子技術を国家戦略の最優先事項に
シンガポール政府は次期5カ年の研究開発予算として370億ドルを計上した。量子技術を戦略的な柱に据え、米国外で初となる高性能量子コンピュータの導入やノーベル賞学者との共同プロジェクトを通じて、アジアのイノベーション拠点としての地位を固める。
シンガポールのローレンス・ウォン首相は、2030年までの研究・イノベーション・企業計画(RIE 2030)を発表し、今後5年間で過去最大となる370億シンガポールドル(約293億米ドル)を投資することを明らかにした。これは前回の予算から32%の増額となり、GDPの約1%を研究開発(R&D)に充てる水準を維持する。
今回の計画で最も注目されるのは、量子技術(クオンタム・テクノロジー)への注力だ。シンガポールは、米国外では初となるクアンティニュアム(Quantinuum)社の最先端量子コンピュータ「Heliosシステム」のホスト国に選ばれた。2026年後半までに設置され、国内の研究者やスタートアップに対し、創薬、材料科学、金融などの分野で強力な計算リソースを提供する。
また、ノーベル賞受賞者のジョン・マルティニス氏が共同設立したQolab社との提携も進めており、シンガポールが強みを持つ半導体製造技術を活かした量子デバイスの開発を目指す。ウォン首相は、量子技術を「早い段階から戦略的に賭けてきた領域」と位置づけ、理論から商業的現実へと移行しつつある同分野でグローバルリーダーシップを築く決意を示した。