MerckとMayo Clinic、AI活用の創薬に向け協業を開始
MerckとMayo Clinicは、AI、高度解析、マルチモーダル臨床データを用いて創薬・医薬品開発を支援する研究開発契約を締結した。Mayo Clinicにとって、世界的バイオ医薬品企業とのこの規模の戦略的協業は初めてとなる。
Merck(NYSE: MRK)とMayo Clinicは、創薬および医薬品開発を支援する目的で、人工知能(AI)、高度解析(advanced analytics)およびマルチモーダル臨床データを活用する研究開発契約を締結したと発表した。本契約は、Mayo ClinicのPlatformアーキテクチャならびに臨床・ゲノムデータセットを、Merckが目指すAI対応の仮想細胞(virtual cell)技術の活用と統合し、疾患理解の深化、標的同定(target identification)の改善、そして早期開発における意思決定の推進を図るものである。
この戦略的協業は、Mayo Clinicが有する豊富な臨床知見、ゲノムデータ、Platformアーキテクチャと、Merckの人工知能および機械学習(machine learning)研究能力を結集する。世界的バイオ医薬品企業との協業としてはMayo Clinicにとってこの規模で初の戦略的提携となる本契約の下、Merckは、検査結果、医用画像、診療記録(clinical notes)および分子データを含むMayo Clinicの広範なマルチモーダルデータを活用し、AIモデルの検証(validation)を支援するとともに、研究から得られた洞察を探索研究および開発戦略へと橋渡しすることを目指す。
Mayo Clinic U.S.および国際的なパートナーネットワークからのデータを安全な環境下で統合するMayo Clinic Platformを活用することで、Merckは、計算生物学および空間生物学(computational and spatial biology)にわたるAI/機械学習対応の探索を含め、Mayo Clinicの臨床知見とゲノムデータセットを統合する。新たなMayo Clinic Platform_Orchestrateプログラムにより、Merckは、Mayo Clinicの世界トップクラスの臨床・科学的専門性、匿名化(de-identified)された臨床およびマルチモーダルデータセット、レジストリおよびバイオレポジトリ、先進的なAIツールと解析、さらにソリューションをスケールさせる能力へ直接アクセスできるようになる。
会長兼CEOは、新たな最先端技術が同社のイノベーション能力を高め、重要な新規治療法を患者により早く届け得る可能性があると述べた。Mayo Clinicと連携することで、同社は高品質な臨床データとAIによる洞察を探索研究に統合し、標的同定の改善、ひいてはプログラムの成功確率の向上を目指すとしている。
Mayo Clinicのプレジデント兼CEOは、Mayo Clinic Platformの匿名化データ、臨床専門性およびPlatform技術を、Merckの世界トップクラスの研究開発能力と組み合わせることで、両組織は革新的ブレークスルーを患者に届けるスピードを加速し、医薬品開発を再定義する態勢が整うと述べた。この協業は、プラットフォームを基盤とした連携が、より多くの答え、より多くの治癒、そして世界中の患者にとってより良い転帰へとつながる医療の「新たな現在と未来」を示すものだとしている。
本協業は当初、高度解析とマルチモーダルアプローチが、より有効で個別化された治療の開発における進展を後押しし得る、3つの診療領域における高いアンメット・メディカル・ニーズの治療領域に注力する。具体的には、消化器領域の炎症性腸疾患、皮膚科領域のアトピー性皮膚炎、神経領域の多発性硬化症である。
本協業は、計算生物学または空間生物学、AI基盤モデル(foundation models)およびリアルワールドデータにまたがるMerckのAI/機械学習対応の探索研究への幅広い投資を基盤とするものであり、規律あるエビデンスに基づく医薬品開発を支える形で先進技術を適用するという共通の焦点を反映している。